そもそも仔犬はなぜ甘がみをするのか?

考えたこと・・・ありますか? その理由がわかればその対処法もわかるはず。大切なのは、人間じゃない「犬」の本能、心の動き、行動をちゃんと理解することです。

  • 仔犬はまだ十分に目で見ること、耳で聞くことができないときから、嗅覚を使って母犬のおっぱいを探します。そして、チュパチュパして育ちます。仔犬は匂いを嗅ぎ、口に入れることで「これは何かな?」「これは自分に必要なのかな。」と判断し、確かめていきます。周囲の環境を理解するために口に入れたい、かじって確かめたいという本能が働きます。
  • もう1つの理由は歯の生え換わりにあります。何もない歯茎に、まず乳歯が生えその乳歯が永久歯になるのに約1年の月日がかかります。その間、歯がグラグラしたり、生えたりするため「何かをかじりたい」という要求が出てくることは、とても自然なことです。私たちも子供の頃、抜けそうで抜けない乳歯を気にして手で触ったことがありますよね。わんちゃんも何かをかじることでそのストレスを解消しようとしています。

その行動がエスカレートするのはどうしてかな?

もし、お家にわんちゃんが来た時より、甘がみの行動が増えている、強くかじるようになっている・・・。これは「かむ」行動がエスカレートしている証拠です。では、なぜエスカレートするのでしょうか。

1. かじって良いものの絶対数が不足している。

かじって口で確かめてみたいもの・・・お家の中だったらタオル、カーペット、ソファー、スリッパ等の布類、床におきっぱなしの雑誌や新聞等の紙類、テーブルやドア等の木製のものでしょうか。どれも仔犬にとって、かじりたいものばかりです。かじられて困るものは、人がまず片付けておきます。目の前にあるものをかんで良いか、悪いかは仔犬に判断させず、良い物のみを提供し、ダメなものはそもそも仔犬に与えないように環境を整えて下さい。そして、かじってよい物を沢山、いつでも仔犬がかじれるようにして下さい。

かじってよい物であふれていれば、仔犬はかじりたい時にかじれるので、物を守ったり、妙に執着することはありません。例えば、電話帳をおいておく、布のオモチャ類を沢山おいておく、木製のダンベル等を何本も与えておく、100均等で売っているスノコを床に置いてみる、コングにフードをつめて与える。牛革のガムやひづめを与えるのもお勧めです。ガリガリかじったり、ときにビリビリ破いて形の変化を楽しむはずです。

この時大切なのは、与えたものは仔犬がかじってる時に取り上げないこと。「かじることに不自由しない」という安心感も合わせて育たせたいので人が力づくで取り上げるのは禁止です。

2. かじっている物を人が取り上げることが多く、守りたい気持ちが出始めている。

仔犬が機嫌よくかじっているのに「あ、それはダメ。」「あ、やめて!!」等、人の理由で仔犬の口から力づくでかじっている物を取り上げていませんか?

いつも人が力づくで自分の物を取っていってしまうなら、今、沢山かじりたい、力強くかじりたい・・・ゆくゆくは守りたい。と思ってしまいます。仔犬に与える時は仔犬がいらない・・・というまでとことん与えて下さい。

3. かじってはいけないもの・・・と人が思ってるものを仔犬がかじっているときの人の反応が仔犬の「かじる」をエスカレートさせている。

仔犬にとって“家族の関心”は何よりも嬉しいことです。もっと見て欲しい、もっと話しかけて欲しい、もっとかまって欲しい、もっと遊んで欲しい・・・仔犬はいつもそう思っています。

ある時家族の誰かが着ている洋服の袖を仔犬がかじったとします。そうすると大抵「こら、こんなことするんじゃないの!やめて!!やめて!!!」と言いながら、袖を引張って口から離そうとしますね。この時・・・服を着ている人の注目は犬に集中し、声をかけ始めます。洋服の袖なら引張りっこをしているように仔犬は勘違いするかもしれません。こうして、たまたまかじった人の腕(服)は楽しい遊び、人の注目、関心を得られるオモチャのような存在になります。右手をかじったら次は左手はどうだろう?じゃズボンの裾はどうかな?仔犬がチャレンジするたび楽しい目的の達成となっていれば、服やズボンをかじる等の行動は結果としてエスカレートしていきます。

では、かみついている袖やズボンの裾はどうやって犬の口から出したらいいでしょう。口から力づくで取り上げる・・・は絶対にダメ正しい方法は「動きを止める」です
引張りっこにしてかむ遊びをエスカレートさせず、自分から「つまらないからもういらない。」と口から離すように促していきます。もちろん、ちゃんとできたらご褒美、それともっと沢山のオモチャで「かじりたい」を満足させましょう。