今、ねこちゃんたちの行動について様々な研究・報告が続々とされています。私たちの身近にいるねこちゃんたちの行動・気持ちを正しく理解し、よりストレスフリーの生活を送らせてあげたいですね。

 今回は「ねこちゃんたちの生活環境を豊かにするには?」についてお話します。

~高さを利用した環境作り~

一般的に猫科の動物(ライオンやトラ等)は地上にいることが多いのですが、ペットとして生きるねこちゃんは、地上よりも目線が上になる環境の方がストレスを受けにくく、好むと言われています。お家で冷蔵庫の上や家具の上等にねこちゃんが飛び乗り、そこから部屋全体を見渡したり、ご機嫌なポーズでシッポをペシペシ振りながら寝ている・・・なんてよく見られますよね。

このように、今使用している家具等を利用して上へ登れるようにしたり、市販されているキャットタワーの設置もとっても有効です。できれば、そこに毛布やオモチャ、フードを置く等して、寝てくつろいだり、補食の喜びを得たりすることはとても重要です。

ここでのポイントは「フードは時々、場所を変えておく。」ということ。「今日はカリカリ置いてるかなぁ。」と期待して登ったり、「あれ?昨日はあったのに、今日はカリカリないなぁ。あとでもう1度見に来よう。」「あ、今日はカリカリじゃなくて、ネズミのオモチャがある!」「あっちの棚の上にはあるかなぁ。」と違う所へ探しに行く・・・。また、窓が高い位置にある場合、そこから外が見渡せるように棚を作ってあげるのも良いでしょう。高い所にいられる上に、外の環境の刺激的な変化を「見る」ことをねこちゃんたちは喜ぶはずです。

2. 釣竿のオモチャの有効性

ねこちゃんの補食行動は犬よりも残っていると言われており、この本能を満たすことはねこちゃんのストレス軽減にとても重要です。

ねこちゃんの補食行動は、

(A)
狙う
見る
(B)
腰を振る
足踏みをする
(C)
走る
(D)
飛びつく
(E)
噛み付いて、振る
(F)
殺す

の行動から成り立っています。

ここで使用したいのが、釣竿の先にネズミ等が付いているタイプのオモチャです。

(A)
「見る」
動かすことで
(A)
「狙い」
を定めます 
(B)
腰を振る
足踏みをする
(C)
走る
(D)
飛びつく
ネズミを捕らえる

とびついて来たら、再度オモチャを動かし、(A)~(D)の行動(疑似狩り遊び)を短時間で何度か繰り返しさせます。この一連の遊びそのものをねこちゃんは喜びますし、この遊びを通じて飼い主さんとコミュニケーションをとったり、飼い主さんに関心を向けてもらえていることにも満足するはずです。

3. 1匹だけの場所と時間

多頭飼育の場合、どんなに仲良しであっても、どの子も1匹でいる時間、1匹でいる場所をほしいと思っています。
通常、もめごとのないねこちゃん同士でも、2~4才に達するとねこちゃん同士の攻撃行動がみられたりすることはよくあります。

こんな場合は、安心・安全を確保したい、という気持ちを満足させてあげるようにするため、フェリウェイ(F3フェロモン製剤)をスプレーした、1匹しか入れない大きさの段ボールや、ベットを用意してあげましょう。設置場所は、高い所、階段の途中、廊下や洗面所、和室等色んな部屋、場所に。又、数もねこちゃんの数以上にします。

通常既に1匹のねこちゃんが入ってる所には、無理やり入ることや、追い出すようなもめ事はしないはずですが、もし、強引にこうするようならば、箱の大きさが大きすぎるか、数が足りてないので、より小さいものに変え、数も増やしてあげて下さい。

ここに入ってると落ち着くの・・・
せまい箱に入ると 落ち着くにゃ♪

✿フェリウェイとは・・・

ねこちゃんにはフェイシャルフェロモンF3という頬から分泌するフェロモンがあります。大好きな人や、ねこちゃん同士、家具の角等に頬をスリッとすりよせるのはフェロモンをこすりつけているのです。これは「私、気分がいいわ。」「ここはぼくの場所だよ。」等の意味があります。又、このフェロモンは嗅ぐとねこちゃんに安心感を与えるということが分かっています

この「フェリウェイ」という商品にはF3類縁化合物が含まれています。なので、これを日常的にスプレーしたり、拡散器で室内に拡散することでねこちゃんは幸福感、安心感を得ることができます。又、イライラ故におこる攻撃的な爪とぎや、壁への尿スプレー行動を減らす、攻撃的になったねこちゃん同士の行動を落ち着かせる、新入りねこちゃんとの共同生活を円滑にする・・・等の目的にも用いられます。当院内、入院室ではフェリウェイのスプレー、拡散器を使用しています。

「フェリウェイ」は動物病院で購入することができますのでお気軽にお問合せ下さい。

ねこちゃんの生活環境を見直して、よりねこちゃんが楽しく満足いく猫生活を送ってもらえたら、飼い主である私たちも幸せですね。

日吉台動物病院